「石垣島の星空を自分のカメラで撮影してみたい」——そんな思いを持って島を訪れる方がとても多くいます。流れ星の丘での星空ツアーを10年以上案内する中で、石垣島の夜空を4万5,000枚以上撮影してきたガイドとして、星空撮影の基本から現地ならではの注意点まで、実践的な知識をまとめます。
どんなカメラでも撮れる?
結論から言うと、シャッタースピードを約20秒まで変更でき、オートフォーカスを解除できるカメラであれば星空撮影が可能です。インスタントカメラなど完全自動の機種以外のほとんどのカメラで対応できます。
スマホカメラについては、通常のカメラアプリでは難しいですが、星空撮影専用アプリ(ProCameraやNightCapなど)を使うことで撮影可能です。ただし画質はデジタルカメラや一眼レフには及びません。
| カメラの種類 | 星空撮影の適性 |
|---|---|
| インスタントカメラ | × 不可 |
| スマートフォン(専用アプリ使用) | △ 条件付き可 |
| コンパクトデジタルカメラ | ○ 可能 |
| 一眼レフカメラ | ◎ 最適 |
| フルサイズミラーレス | ◎◎ 最高 |
星空撮影の基本カメラ設定
以下が基本となる設定です。まずこの数値からスタートし、撮影しながら微調整してください。
| 設定項目 | 推奨値 | 理由 |
|---|---|---|
| 撮影モード | マニュアル(M) | すべての設定を手動コントロール |
| シャッタースピード | 20秒 | 星の光を十分に取り込む |
| ISO感度 | 3200 | 暗い環境での感光度を確保 |
| 絞り値(F値) | できるだけ小さく(F4以下推奨) | より多くの光をレンズに取り込む |
| 撮影タイマー | 2秒 | シャッターを押した時のブレを防ぐ |
| オートフォーカス | マニュアルフォーカス(MF)に切替 | 暗所ではAFが機能しない |
よくある失敗:オートフォーカスが解除できていない
ツアー参加者の中で最も多いトラブルが「シャッターが切れない」という状態です。原因のほとんどがオートフォーカス(AF)の解除忘れです。真っ暗な環境ではカメラのAFが焦点を合わせられず、シャッターがロックされてしまいます。
解決策:レンズのAF/MFスイッチを「MF」に切り替え、フォーカスリングを「∞(無限遠)」に合わせます。これで遠い星に焦点が合います。
シャッタースピードと星の動き
地球は自転しているため、長時間露光をすると星が動いて写ります。目安として、シャッタースピードが20〜25秒を超えると星が点ではなく短い線(スター・トレイル)になり始めます。点の星を撮りたい場合は20秒以内に設定してください。逆に、星の軌跡を長い線として芸術的に撮りたい場合は数分〜数時間の露光にします。
ISO感度とノイズのバランス
ISO感度を上げるほど暗い場所でも明るく撮れますが、ノイズ(粒状感)も増します。ISO3200から始め、暗ければ6400まで上げてみてください。撮影後に現像ソフト(Lightroomなど)でノイズリダクションをかけると大幅に改善できます。
石垣島での星空撮影、現地の注意点
月の影響を確認する
月が出ている夜は月明かりが星を飲み込んでしまいます。特に満月前後は天の川がほとんど見えなくなります。事前に月の出/月の入り時刻を確認し、月が沈んでいる時間帯を狙うのが重要です。
三脚は必須
20秒の露光中はカメラを完全に固定する必要があります。三脚なしの手持ち撮影では必ずブレます。コンパクトな旅行用三脚でも十分機能します。
バッテリーの消耗が速い
長時間露光撮影はバッテリーの消耗が通常より速くなります。予備バッテリーを必ず持参してください。特に寒い時期はバッテリーの持ちが落ちます(石垣島は比較的温暖なので影響は少なめですが)。
暗さへの目の慣れ(暗順応)を大切に
人の目は暗い場所に入ってから約15〜30分かけて暗順応します。スマホの画面を見ると暗順応がリセットされます。撮影の合間にスマホを見るのは最小限にとどめると、肉眼でも星空をより鮮明に楽しめます。
人物と星空を一緒に撮る(星空ポートレート)
人物を入れた星空写真はSNSで人気がありますが、撮影には少しコツが必要です。
基本的な方法は、20秒の露光中に別のスマホのライトや小型ライトで人物に光を当てる「光書き」技法です。バルブ撮影(シャッターを任意の時間開け続ける)と組み合わせると表現の幅が広がります。流れ星の丘の星空ツアーでは、ガイドが撮影のサポートをしながら一緒に撮影の方法をお伝えすることも可能です。
まとめ:石垣島での星空撮影成功のチェックリスト
- カメラのマニュアル設定(M)への切り替えを事前に確認する
- オートフォーカス(AF)をマニュアルフォーカス(MF)に切り替え、∞に設定する
- シャッタースピード20秒、ISO3200、F値最小(F4以下)から始める
- 三脚を必ず持参する
- 予備バッテリーを用意する
- 月の出/入り時刻を事前に確認し、月が沈んでいる時間帯を狙う
- 光害がない場所(平久保半島など)を選ぶ

