「石垣島の星空は世界トップクラス」——星空ツアーの世界でよく使われる言葉ですが、私たちはこれまで、この言葉を積極的に使ってきませんでした。自分たちで測った数字の裏付けがなかったからです。
2026年8月16日の深夜から17日の未明にかけて、流れ星の丘は専用測定器(Unihedron Sky Quality Meter)を持って石垣島を縦断し、7地点で夜空の暗さを実測しました。結果、平久保半島では SQM 21.82〜21.89 mag/arcsec² を記録。最暗値21.89は、ツアー開催地である流れ星の丘の観測所で記録しました。これは理論上の最暗値(約22.0)に迫る、世界の一級の星空観測地と同水準の暗さです。
【2026年9月11日 追記】新月前夜の2026年9月10日深夜〜11日未明に2回目の観測を行い、島を周回して24地点・41測定を追加しました。ツアー会場の流れ星の丘(久宇良)では SQM 22.01〜22.04、その1km北で 22.11 を記録。理論上の最暗値22.0に届いた、光害がほぼゼロの空です。初めて測った島の西側(崎枝・屋良部半島・川平・米原)のデータも含め、この記事では2夜・56測定の全データと測定方法を公開します。
石垣島 夜空の暗さ実測マップ
地図の点は実測地点です。濃い青ほど暗い空(=星がよく見える)を示します。島の北へ行くほど暗くなり、平久保半島の先端部で最も暗くなる——光害の勾配が一晩の測定ではっきり現れました。マップを全画面で見る
測定結果の全データ(1夜目: 2026年8月16日〜17日)
| 時刻 | 地点 | SQM値 (mag/arcsec²) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 00:49 | 流れ星の丘(ツアー会場・久宇良) | 21.82 / 21.85 | 2回測定 |
| 00:59 | 流れ星の丘(観測所) | 21.86 / 21.89 | この夜の最暗値・2回測定 |
| 01:07 | 伊原間 | 21.67 / 21.71 | 2回測定 |
| 01:11 | 玉取崎展望台 | 21.60 | |
| 01:22 | 野底 | 21.50 / 21.58 | 2回測定 |
| 01:28 | 桴海・米原方面 | 21.24 | 3回測定・完全一致 |
| 01:45 | 名蔵・嵩田方面 | 19.36〜19.39 | 市街光の影響 |
測定条件: 月齢4.2・月没後(月明かりの影響なし)・晴天。なお久宇良の集落内(街灯のすぐ近く)でも21.33を記録しており、集落の中でさえ「非常に暗い空」の水準を保っています。同日20時台に名蔵・嵩田方面で測定した18.36は薄明(空がまだ完全に暗くなる前)のため参考値とし、上の表から除いています。全測定はiPhoneのカメラで撮影記録し、GPS座標・時刻・測定値の写った写真を証拠として保存しています。
測定結果の全データ(2夜目: 2026年9月10日〜11日・新月前夜)
| 時刻 | 地点 | SQM値 (mag/arcsec²) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 21:50 / 01:48 | 名蔵・嵩田方面 | 20.40 / 20.59 | 出発時と帰路の2回 |
| 22:01 | 名蔵湾北側(県道208号沿い) | 21.09 | |
| 22:06 | 名蔵湾北岸 | 21.24 / 21.24 / 21.03 / 21.02 | 4回測定 |
| 22:31 | 崎枝(県道79号沿い) | 21.11 | |
| 22:36 | 崎枝 | 21.55 | |
| 22:44 | 屋良部半島南側(崎枝) | 21.45 / 21.62 | 2回測定 |
| 22:56 | 屋良部半島北側(崎枝) | 21.72 | |
| 23:12 | 川平集落内(街灯近く) | 19.36 | 街灯直下の参考値 |
| 23:14 | 川平集落付近 | 20.78 / 20.76 | 2回測定 |
| 23:29 | 米原付近(桴海) | 21.10 / 21.10 | 2回測定 |
| 23:39 | 桴海北部(県道79号沿い) | 21.66 | |
| 23:54 | 野底北部(県道79号沿い) | 21.71 / 21.73 | 2回測定 |
| 00:03 | 伊原間集落付近 | 21.66 / 21.71 / 21.71 / 21.73 | 4回測定 |
| 00:11 | 明石付近 | 21.76 / 21.75 | 2回測定 |
| 00:15 | 流れ星の丘付近(県道206号) | 21.76 / 21.75 | 2回測定 |
| 00:22 | 久宇良東側 | 21.87 / 21.93 / 21.93 | 3回測定 |
| 00:25 | 久宇良南(県道206号) | 21.77 | |
| 00:29 | 流れ星の丘(ツアー会場・久宇良) | 22.04 / 22.01 / 22.02 | 3回測定・理論最暗22.0前後 |
| 00:33 | 久宇良〜平久保(県道206号) | 22.11 / 22.04 | 2回測定・理論最暗22.0前後 |
| 00:40 | 平久保集落付近 | 21.81 | |
| 00:44 | 平久保崎手前(県道206号) | 21.89 | |
| 00:52 | 安良方面(平久保半島東側) | 21.84 | |
| 01:36 | 大浜北部(新川白保線沿い) | 21.36 |
測定条件: 月齢29.1(新月前夜)・月は地平線下(高度−43〜−59°・月明かりの影響なし)・雲量はOpen-Meteoの時別モデル値で11〜46%。市街地側の名蔵から時計回りに島の西側(崎枝・屋良部半島・川平・米原)を回り、平久保半島を北端の平久保崎手前まで走って、東側の大浜経由で戻る周回ルートです。地点名は写真のGPS座標から付けた呼び名です。全41測定の座標つき一覧は実測マップに掲載しています。
22.0を超える値について。地上で観測できる夜空の暗さは、大気光・黄道光があるため理論上およそ22.0が上限とされます。今回の22.01〜22.11は、この上限と測定器の公称精度(±0.10)の範囲内にある値です。「22.11だから世界一」ではなく、「人工の光害がほぼゼロの空」と読んでください。大気の透明度や大気光は夜ごとに変わるため、同じ場所でも夜によって0.1〜0.2程度は上下します(ツアー会場の流れ星の丘は8月17日が21.82〜21.85、9月11日が22.01〜22.04でした)。
SQMとは?数字の読み方
SQM(Sky Quality Meter)は夜空の明るさを測る専用測定器で、単位は mag/arcsec²(等級毎平方秒角)。数字が大きいほど空が暗く、星がよく見えることを意味します。目安は次のとおりです。
| SQM値 | 空の状態 | 目安 |
|---|---|---|
| 22.0 | 理論上の最暗(光害ゼロ) | 地球上でこれ以上暗い空はない |
| 21.7〜22.0 | 世界最高水準の暗空 | 世界の一級観測地・大型天文台クラス |
| 21.0〜21.7 | 非常に暗い空 | 天の川が濃く見える |
| 20.0〜21.0 | 暗い空 | 郊外の良好な空 |
| 18〜19 | 市街地近郊 | 明るい星のみ見える |
なぜ「世界トップクラス」と言えるのか
8月の実測で、平久保半島(久宇良〜流れ星の丘観測所)は21.82〜21.89を記録し、9月の新月前夜にはツアー会場の流れ星の丘(久宇良)で22.01〜22.04、その北で22.11を記録しました。世界的に「最も暗い空」とされる観測地(アタカマ砂漠、ハワイ・マウナケア、ニュージーランドのテカポなど)で報告される値はおおむね21.7〜22.0の範囲です。平久保半島の空は、実測値においてこれらと同じ水準にあります。
私たちがこの言葉を使うのは、今回が初めてです。推測や借り物の数字ではなく、自分たちの機材で、日時・場所・条件を全部開示できる形で測ったからこそ、堂々と言えます。石垣島・平久保半島の星空は、実測で世界トップクラスの暗さです。
島の中でも「暗さ」は大きく違う
縦断測定のもう一つの発見は、同じ石垣島でも場所によって夜空の暗さが大きく違うことです。市街地に近い名蔵・嵩田方面(8月は19.4弱、9月の新月でも20.4〜20.6)と平久保半島(21.8〜22.1)では、夜空の明るさに約4〜9倍の差があります。SQMは対数スケールなので、2.4の差は「9倍明るい/暗い」を意味します。9月に初めて測った島の西側も、屋良部半島の北側で21.72、崎枝・米原で21.1〜21.6、川平集落のそばで20.8と、平久保半島には届きませんでした。星空を目的に石垣島へ来るなら、どこで見るかが決定的に重要です。
継続観測とデータ公開について
流れ星の丘では今後、観測地点と回数を増やしながら定期的に測定を続け、季節・月齢による変化も含めた「石垣島の夜空の暗さデータ」としてこのページと実測マップを更新していきます。データは出典(流れ星の丘 / goattours.com)を明記いただければ、研究・教育・報道等で自由に引用いただけます。
よくある質問
石垣島で一番星空が暗い(よく見える)場所は?
2夜の実測では、平久保半島の久宇良〜平久保エリアが最も暗く(8月 SQM 21.82〜21.89、9月の新月前夜 22.01〜22.11)、市街地から北へ行くほど暗くなる結果でした。島の西側(川平・崎枝・屋良部半島)も測りましたが、最高で21.72でした。流れ星の丘のツアーはこの最暗エリア・久宇良で開催しています。
満月の夜でも暗いの?
いいえ。月は最大の「自然の光害」で、満月期は同じ場所でもSQM値が20前後まで明るくなります。今回の測定は月没後(月明かりなし)の値です。星空観賞は新月前後、または月没後・月出前の時間帯がおすすめです。
測定はどうやって行った?
Unihedron社のSky Quality Meterを使い、各地点で天頂に向けて測定。測定値の表示をその場でiPhone撮影し、写真のGPS座標・時刻を記録として保存しています。1地点で複数回測定し、ばらつきも公開しています。
この世界トップクラスの暗さの空で、実際に星を見てみませんか。流れ星の丘の星空ツアーは、島内で最も暗い平久保半島・久宇良で毎晩開催しています。
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