MENU
石垣島の夜空の暗さを実測しました|実測マップ公開中(最暗21.89)

石垣島で星空を見るなら、平久保半島。|島の中で最も暗い4つの理由を実測データで解説

SQMの目盛りを18から22まで並べた図。市街地に近い名蔵・嵩田が19.36〜19.39、平久保半島が21.82〜21.89、流れ星の丘展望台が最も暗い21.89と示され、21.7〜22.0が世界トップクラスの暗さと説明されている

「石垣島で星空を見たい。どこに行けばいいですか?」この質問に、私たちは10年間、同じ答えを返してきました。石垣島で星空を見るなら、平久保半島(ひらくぼはんとう)です。石垣島の最北端に細長く伸びる半島で、平野・平久保・久宇良・明石・伊原間の五つの集落があります。

「石垣島は星空の島」と聞くと、島のどこでも同じように星が見えると思うかもしれません。私たちが10年ガイドをしてきて毎回お伝えしているのは、同じ石垣島でも、場所によって空はまるで別物だということです。市街地のホテルの屋上と、平久保半島の丘とでは、見える星の数がまったく違います。

この記事では、なぜ平久保半島をおすすめするのかを「地形」「山」「自然」「実測値」の4つの理由で説明します。旅行の計画で「市街地からわざわざ1時間かけて北まで行く価値があるのか」と迷っている方に、判断材料としてお読みいただければと思います。

目次

結論:石垣島で星空を見るなら、平久保半島

石垣島の中で、夜空が最も暗いエリアは平久保半島です。理由は次の4つです。

  • 地形:入口が約270mしかない細長い半島で、周囲は海。外から光が入る経路がほとんどない
  • :沖縄県最高峰の於茂登岳(526m)が、島最大の光源である石垣市街地の光を遮っている
  • 自然:大規模リゾートホテルは0件。国立公園として守られ、半島の中に大きな光がない
  • 実測値:2026年8月の実測で SQM 21.82〜21.89。世界の一級観測地と同じ水準。市街地寄りは19.36〜19.39

私たちが測った中で最も暗かったのは、半島の久宇良集落にある星空ツアー「流れ星の丘」の観測所で、21.89でした。半島の中の具体的なスポットは石垣島の星空スポット完全ガイドで比較しています。以下、4つの理由を順に説明します。

理由1:入口がわずか約270m。細長い半島が、外の光を寄せつけない

平久保半島は、石垣島の北東に細長く伸びた半島です。地図で見ると、石垣島の本体から天然の橋が一本伸びて、その先にもうひとつの小さな島が広がっているような形をしています。

その「橋」にあたる部分が、伊原間(いばるま)の「船越(ふなくやー)」です。太平洋側の長田浜と、東シナ海側の伊原間湾との間は、わずか約270mしかありません。昔の人はここで船を担いで反対側の海へ越えたため、「船越」と呼ばれています。

平久保半島を上空から描いた図。半島の大部分が西表石垣国立公園の範囲として緑色に塗られ、大規模リゾートホテルが0件であることが示されている

この形が、星空にとって決定的に効いています。半島の周囲はほぼすべて海です。海の上には街も道路もないので、光の発生源そのものがない。外から光が入ってくる経路は、約270mの細い入口だけです。島の他の地域が明るくなっても、平久保半島の空は簡単には影響を受けません。

平久保半島の入口にあたる船越漁港の東屋の上に広がる星空。周囲に街明かりがなく、空一面に星が写っている
半島の入口・船越漁港の東屋と星空。ここから北へ進むほど、空はさらに暗くなります。

理由2:沖縄県最高峰・於茂登岳(526m)が、市街地の光を遮っている

石垣島でいちばん大きな光の源は、島の南側にある石垣市街地です。ホテル、飲食店、港、街灯。島の明かりの大半がここに集中しています。

その市街地と平久保半島の間には、沖縄県で最も高い山、於茂登岳(おもとだけ・標高526m)を中心とする於茂登山系が、東西に横たわっています。市街地の光はこの山並みにぶつかり、その先の半島までは届きません。山が天然の「ついたて」になっているのです。

夜の石垣島を上空から描いた図。手前の石垣市街地の光が於茂登岳526mの山並みに遮られ、山の向こう側の平久保半島には暗い夜が残っていることを矢印で示している

この違いは、現場では「雲の色」で分かります。街の近くで夜の雲が白く見えるのは、地上の光を雲が反射しているからです。つまり白い雲が見えたら、その空は光害の影響を受けています。平久保半島では、頭上の雲は黒く、空と区別がつきません。雲さえ見えないほど暗い。それが、山の向こう側の夜です。

実際に、光害のある場所と、光害の届いていない場所で撮った写真を並べてみます。

石垣島の市街地に近い場所で撮影した夜空。地平線近くが街明かりでオレンジ色に明るくなり、星が少なく見える
光害のある場所。地平線が街明かりで明るく、淡い星は消えています。
平久保半島で撮影した夜空。地平線まで暗く、天の川と無数の星がはっきり写っている
光害の届いていない平久保半島。地平線まで星が写ります。

理由3:大規模リゾートホテルは0件。守られてきた自然が、暗い夜を残している

地形と山が外からの光を防いでくれても、半島の中に大きな光ができてしまえば意味がありません。平久保半島の空が暗いままなのは、半島の中に大規模なリゾートホテルが一軒もないからです。

半島の陸と海の多くは、西表石垣国立公園に指定されています。2016年の区域拡張では、平久保と久宇良のサガリバナ群落地も新たに加わりました。石垣島でヤシガニの保護区が設けられているのも、この半島だけです。大規模な開発や過度な照明が抑えられてきたことで、自然の暗さがそのまま残っています。

平久保半島を上空から描いた図。石垣島本体から約270mの細い部分でつながり、その先に半島が大きく広がっている。四方を海に囲まれ、余計な光が入りにくいことを示している

ここで、ひとつ知っておいていただきたいことがあります。於茂登岳が遮ってくれるのは、島の外側から来る光だけです。半島の中にできた光を遮る山は、どこにもありません。半島は細長く、どの集落からも空はつながっています。つまり、一部の地域に基準を超える明かりがひとつできるだけで、半島全体の夜空の暗さが下がってしまう。この暗さは「守られている」からこそ残っているもので、放っておいて残るものではありません。

石垣島最北端・平久保崎灯台のそばで、柵に腰かけて天の川を見上げる人のシルエット。頭上から水平線近くまで天の川が伸びている
半島の先端・平久保崎灯台のそばから見上げた天の川。

理由4:実測SQMが示す、世界トップクラスの暗さ

ここまでの3つは「理屈」です。理屈だけでは「本当にそんなに違うのか」と思われるでしょう。そこで私たちは、数字で確かめました。

2026年8月16日の深夜から17日の未明にかけて、夜空の暗さを測る専用の測定器(Unihedron Sky Quality Meter、略してSQM)を持って、石垣島を南から北へ縦断し、7地点で測定しました。条件は月齢4.2、月が沈んだ後、晴天です。

地点(南から北へ)SQM値(mag/arcsec²)備考
名蔵・嵩田方面(市街地寄り)19.36〜19.39市街光の影響が残る
桴海・米原方面21.24
野底21.50 / 21.58
玉取崎展望台21.60半島の入口手前
伊原間21.67 / 21.71半島の入口
久宇良付近21.82 / 21.85平久保半島
流れ星の丘(久宇良・観測所)21.86 / 21.89この夜の最暗値

この夜いちばん暗かった21.89を記録したのは、久宇良集落にある私たちの観測所、流れ星の丘です。SQMの数字は、大きいほど暗いことを表します。理論上の最も暗い値は約22.0。世界の一級の星空観測地として知られるアタカマ砂漠、マウナケア、テカポなどで報告されるのは21.7〜22.0の範囲です。平久保半島の21.82〜21.89は、その水準にあります。

石垣島北部の平久保半島を上空から描いた図。細長い半島が海に囲まれ、遠くの於茂登岳が市街地の光を遮っている様子を示し、なぜ平久保半島は星空がこんなに綺麗なのかと問いかけている

そして表を見ていただくと分かるとおり、市街地側から北へ進むほど、数字が段階的に上がっていきます。理由1と理由2で説明した「入口の狭い地形」と「於茂登岳の壁」が、一晩の測定の中に、そのまま光害の勾配として現れました。なお、久宇良の集落内の街灯のすぐそばで測っても21.33でした。照明のそばでは値が下がること、そこを少し離れた観測所では21.89まで暗くなること。その両方を示す数字です。

測定地点の地図と全データ、測定方法は、石垣島の星空はどれくらい暗い?夜空の暗さをSQMで実測しました(実測マップ公開)で公開しています。

まとめ:石垣島で星空を見るなら平久保半島、その4つの理由

  • 地形:入口が約270mしかない細長い半島で、周囲は海。外から光が入る経路がほとんどない
  • :沖縄県最高峰の於茂登岳(526m)が、島最大の光源である石垣市街地の光を遮っている
  • 自然:大規模リゾートホテルは0件。国立公園として守られ、半島の中に大きな光がない
  • 実測値:SQM 21.82〜21.89。世界の一級観測地と同じ水準で、市街地側から北へ暗くなる勾配が数字で確認できる

よくある質問

石垣島で星空を見るなら、どこがおすすめですか?

平久保半島です。石垣島の最北端にあり、入口の狭い地形と於茂登岳が市街地の光を遮り、大規模なリゾートホテルもないため、島の中で最も暗い夜空が残っています。2026年8月の実測では、平久保半島で21.82〜21.89、市街地寄りで19.36〜19.39でした。半島の中では、久宇良の流れ星の丘、平久保崎灯台、平久保エコロードなどで星空が見られます。

石垣島の市街地でも天の川は見えますか?

条件がよければ、明るい星や天の川の濃い部分はうっすら見えることがあります。ただ、実測では市街地寄りの名蔵・嵩田方面で19.36〜19.39、平久保半島で21.82〜21.89と、数字で見ると別の空です。淡い星や天の川の細かな濃淡は、市街地では見えません。

市街地から平久保半島まで行く価値はありますか?

市街地からは車で1時間ほどかかります。それでも私たちは「ある」とお答えします。星空は、場所を変えるだけで見える星の数がまるで変わります。多少遠くても、光害の外に出た空は別格です。詳しくは星空で有名な石垣島!場所によって見え方が驚くほど違う事実。もご覧ください。

いつ行けば星空が見えますか?

いちばん大事なのは、月明かりの少ない夜を選ぶことです。満月に近い夜は、どんなに暗い場所でも月の光で淡い星が消えます。天の川の濃い部分は、石垣島では6月後半から11月前半にかけて見やすくなります。天気は当日の空で決まりますので、予報だけで諦めないでください。

その星空を体感するなら、流れ星の丘へ

この記事で説明した4つの理由が重なる場所、平久保半島の久宇良地区の丘に、私たちの星空ツアー「流れ星の丘」はあります。南向きで360度の視界が開けた丘で、実測でこの夜いちばん暗かった21.89を記録したのは、まさにこの場所です。

流れ星の丘の星空ツアー

完全予約制で、星空ガイドがご案内します。ハンモックに寝転んで、双眼鏡で天の川をのぞいて、ゆっくり空を見上げていただく時間です。写真では伝わらない、頭上から水平線までを覆う星空を、ぜひご自身の目で確かめてください。

流れ星の丘のツアーで、ハンモックに寝転んだ参加者の頭上に天の川が縦に伸びている星空写真
流れ星の丘のツアー風景。ハンモックから見上げる天の川。

関連記事:石垣島の星空保護区の真実|本当に暗い場所・数値データ【実地検証】石垣島の星空スポット完全ガイド

この夜空を、次の世代に渡すために

理由3で書いたとおり、半島の中にできた光を遮る山はありません。この暗さは、放っておいて残るものではなく、守る人がいて残っています。そして今、この平久保半島ないでだき規模なリゾートホテルの開発申請が4件も石垣市に提出されています。一つでも大きな光を放つ場所ができれば一瞬でこの環境は無くなってしまいます。

流れ星の丘は、平久保半島の五つの集落の公民館がひとつになった住民組織「平久保半島自治協議会」の一員として、この環境を守る取り組みを地域の人たちと始めています。五つの公民館が合意した「平久保半島共同憲章」、理念に賛同する事業者を地域の側が認定する「平久保半島認定制度」、そして夜空の暗さを数字で記録し続けるSQM測定です。流れ星の丘も認定事業者のひとつです。取り組みの全体は、平久保半島自治協議会のサイトにまとめています。

いちばんの応援は、この半島に実際に来て、この空をご自身の目で見ていただくことです。この暗さの価値を知っている人が増えるほど、守りやすくなります。この記事を誰かに送っていただくだけでも力になります。応援の方法はこちら

この記事を書いた人

新垣信成(あらかき のぶなり)。平久保半島の久宇良集落に暮らし、星空ツアー「流れ星の丘」を10年運営して6万人以上をご案内してきました。平久保半島自治協議会の会長として、半島の夜の暗さを守る活動もしています。この記事の数値は、2026年8月16日から17日にかけて自分で測定したものです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次