こんにちは!この記事を書いているのは、石垣島の市内から遠く離れた平久保半島で、10年にわたり、人工の光が一切ない環境で星空観測を行える唯一の場所、「流れ星の丘」を運営し、星空ツアーの企画・運営を行なっている、地元出身の新垣信成(あらかき のぶなり)です。
2024年には平久保半島でリゾート開発の計画申請が多数提出されていることに危機感を覚え、平久保半島内の全ての自治会を網羅した「平久保半島自治協議会」を平久保半島の5つの公民館長さんと平久保半島の若い仲間たちと一緒に設立する事になりました。地元の人々と共に、平久保半島の貴重な星空資源と豊かな自然環境を守り、1000年後もこの場所で「濃くて太い天の川」が見られるよう活動しています。
石垣島へのご旅行を計画されている皆さん、せっかく石垣島に来るなら、ぜひ「石垣島の星空」を体験してほしい!そう強く願っています。この記事では、2025年7月の石垣島の星空の魅力と、最高の星空体験をするための秘訣を徹底的にお伝えします。
7月は天の川は横に巨大!蠍座が吊り上げる天の川を見よう!
「星空を見るなら冬」と思っていませんか?本州では冬の空気が澄んだ時期に星空が綺麗に見えるイメージがありますが、石垣島の星空の「旬」は、実は7月から9月なんです!この時期の石垣島は、晴天率が非常に高く、さらに偏西風の範囲から外れているため、驚くほどクリアな天の川を観測することができます。
7月の天の川の見え方の特徴は東の空に横たわるよに現れる巨大な天の川です。真横に横たわる巨大な天の川を蠍座の尻尾が引き上げる様はまさに圧巻です。ハワイ島を釣り上げた伝説のマウイの釣り針がこの蠍座の尻尾にあたります。この光景を是非観てほしいです。
また、特筆すべきは、石垣島で観られる天の川の「長さ」。これは、石垣島の緯度が低いことに関係しており、本州では見られないような、ほぼ真上まで昇ってくる壮大な天の川のアーチを体験できます。この時期にしか見られない、まさに「日本一長い天の川」は、石垣島でしか味わえない感動です。
ただし、「石垣島ならどこでも濃くて太い天の川が見える」というのは誤解です。石垣島の南側、市街地周辺(石垣島天文台やバンナ公園など)は街明かりの光害が強いため、肉眼で天の川をはっきりと見るのは難しいでしょう。また、川平湾がある北西部も、リゾートホテルが多く点在しているため、人工の光に溢れ、肉眼での天の川観測には不向きです。
石垣島で最も濃くて太い天の川が見えるのは、私たち「流れ星の丘」がある平久保半島です。なぜ平久保半島が特別な場所なのかというと、その大半が国立公園、つまり「星空保護区」に指定されており、人工の光が極端に制限されているためです。さらに、平久保半島の地形は細長く、市街地と平久保半島の間には沖縄県で最も高い於茂登岳があるため、市街地の光害の影響を受けにくい、非常に貴重な場所となっています。
平久保半島の夜の暗さは、世界的に見ても稀有なレベルです。世界的に星空観光地として有名なハワイのマウナケアやニュージーランドのテカポよりも暗い夜の暗さを測る数値が計測されており、まさに「奇跡の暗闇」がここにあります。この最高の環境で、ぜひ本物の天の川を体験してください。
2025年7月の注目天文イベント
2025年7月も、石垣島の夜空では様々な天文イベントが期待できます。
- 7月下旬:みずがめ座δ南流星群 活動のピークは7月28日頃とされていますが、7月中旬から下旬にかけて出現する流星群です。月明かりの影響が少ない日を選べば、いくつか流れ星を観測できるかもしれません。
- 惑星の動き 7月は、夕方の西の空に金星が、明け方の東の空には土星や火星が見える日が多くなります。肉眼でも明るく輝く惑星は、見つけやすい天体なので、ぜひ探してみてください。
- その他 月の近くに惑星が接近する現象や、国際宇宙ステーション(ISS)の通過なども見られる可能性があります。日によって見え方が変わりますので、最新の天文情報もチェックしてみてください。
石垣島で見どころの星座たち
石垣島の夜空では、本州では見られないような南の国の星座や、馴染み深い星座もより壮大に輝いて見えます。7月に特におすすめの3つの星座をご紹介します。
- さそり座 夏の夜空を代表する星座の一つで、その名の通りサソリの形をしています。特に、赤く輝く一等星「アンタレス」は、さそり座の心臓に位置し、その存在感は抜群です。ギリシャ神話では、英雄オリオンを刺したサソリとして語り継がれています。天の川の中に位置するため、たくさんの星々が背景に輝き、息をのむ美しさです。石垣島ではビーチャーぶしと言って赤く光るほしが酔っ払っらおじーに見えると言われています。そのビーチャぶしから天の川に釣り針が垂れているようにみえ、酔っ払ったおじーが天の川で酒の当てを釣っているとも言われています。
- いて座 さそり座の東隣に位置し、弓を引く半人半馬の姿で描かれます。天の川の中心方向にあたり、肉眼でもたくさんの星が集まっているのが分かります。まさに天の川の「最も濃い部分」がこのいて座の方向にあります。望遠鏡で見ると、たくさんの星団や星雲が見られ、その壮大さに圧倒されるでしょう。射手座はもう一つの見え方もできます。それはティーポットです。まるでティーポットからミルクが注ぎ出ているようにも見えます。天の川を英語でなんといいかすか?それを考えるとなんともオシャレな星座に見えてきます。
遥かなる光の旅:一等星が語る宇宙の物語
7月の石垣島の夜空には、数多くの一等星が輝きます。例えば、さそり座のアンタレス、こと座のベガ、わし座のアルタイル、はくちょう座のデネブなど、夏の代表的な星々が煌めきます。
これらの星々の多くは、地球から数十光年、数百光年といった途方もない距離にあります。「1光年」とは、光が1年間に進む距離のこと。光の速さは秒速約30万キロメートル。想像を絶するスピードですが、それでも1年間で約9兆5千億キロメートルしか進みません。例えば、アンタレスは地球から約550光年離れています。これは、今私たちが見ているアンタレスの光が、今から550年前にアンタレスを出発した光だということを意味します。つまり、私たちが見ている星々は、すべて「過去」の姿なのです。
550年前というと、日本では室町時代、応仁の乱の真っ只中。そんな遥か昔に放たれた光が、今、石垣島の夜空に届いている。この壮大な宇宙のスケールを感じると、私たちが生きている時間のいかに儚く、そして尊いものであるかを教えてくれます。流れ星の丘で、この星々の瞬きに、宇宙の神秘と人生の奥深さを感じてみませんか。
2025年7月 石垣島 月影響カレンダー
星空観測において、月明かりの有無は非常に重要な要素です。月が明るいと、残念ながら星々の輝きは薄れてしまいます。また、月の出入り時刻も日によって異なりますので、以下に7月の月齢カレンダーを作成しました。ツアー中の21時から22時の時間帯における月の影響を◎、○、△で表記しています。
※月が大きくても諦めないでください月の出入り時間を見れば月明かりが大きくても月がない夜の時間もあります。
石垣島 月影響カレンダー要約(ツアー時間:21時~22時)
上記のカレンダーを要約すると、7月の「流れ星の丘」での星空ツアー(21時~22時)における月の影響は以下のようになります。
※この要約は、ツアー時間の21時から22時の観測に限定されます。
△の日でも、月齢5から12の間は、夜中から明け方にかけて月の入り時間がずれていくため、月が沈んだ後の時間帯を狙えば、◎の条件で素晴らしい星空観測が可能です。例えば、月が沈んだ後の深夜帯や、明け方の空など、月の影響が少ない時間帯に観測することで、さらに多くの星々や天の川を堪能できます。
石垣島で星空観測におすすめの場所
せっかく石垣島に来たなら、最高の星空を観測したいですよね。しかし、石垣島ならどこでも同じように星が見えるわけではありません。以下に、観測地ごとの特徴をご紹介します。
- 石垣島市内周辺(国立天文台やバンナ公園周辺):✖️ 残念ながら、市街地の明かりによる光害が非常に強いため、肉眼で天の川をはっきりと見るのはほとんど不可能です。天文台やバンナ公園は日中の観光には良い場所ですが、星空観測には適していません。
- 川平湾周辺や玉取崎周辺:○ 市内よりは暗いですが、リゾートホテルが多数点在しているため、その明かりが光害となり、天の川は薄くしか見えません。もちろん、市内に比べれば星は見えますが、石垣島本来の星空の美しさを体験するには物足りないでしょう。
- 平久保半島周辺:◎ 私たちが運営する「流れ星の丘」があるこのエリアは、石垣島で最も星空観測に適した場所です。
- ほとんどが国立公園=星空保護区に指定されており、人工の光が極端に制限されています。
- リゾートホテルがほとんどなく、街灯もほとんどありません。
- 市街地からは直線距離で、なんと波照間島と同じくらい離れており、光害の影響をほとんど受けません。
- 夜の暗さの数値は世界的に見てもトップレベル。息を呑むような満天の星空と、太くて大きな天の川のアーチを肉眼で体験することができます。
平久保半島で星空を見るなら「流れ星の丘」の星空ツアーがおすすめ!
平久保半島は星空観測に最適な場所ですが、その中でも「流れ星の丘」は、最高の星空体験を提供するために徹底的にこだわり抜いた場所です。
- 特別な立地: 平久保半島の中でも、特に星空が綺麗に見える条件を満たした場所に位置しています。周囲に人工の光を遮るものがなく、360度見渡せる小高い丘になっています。
- 人工の光ゼロ: 星空を見るために、観測エリアでは人工の光を完全に排除しています。これにより、肉眼で微かな星の光まで捉えることができます。
- 快適な設備: 星空観測を快適にするためのリクライニングチェアやハンモック、そして肉眼では捉えきれない星々の姿を拡大して見ることができる双眼鏡や望遠鏡などの設備も充実しています。
- 経験豊富な専門ガイド: 地元出身の私、新垣信成をはじめ、経験豊富な専門の星空ガイドが、ただ星を眺めるだけでなく、星空の物語や宇宙の不思議を分かりやすく解説し、お客様一人ひとりの心に残る体験を演出します。
私たちは、単に星を見せるだけでなく、石垣島の豊かな自然と共にある星空文化を伝え、お客様にとって忘れられない旅の思い出を作るお手伝いをしたいと考えています。ぜひ、流れ星の丘で、あなただけの特別な星空体験をしてみませんか?
星空観察は、心のリフレッシュ!
日々の忙しさの中で忘れがちな、地球の息吹や宇宙の広がり。石垣島の満天の星空は、そんな私たちに、立ち止まって自分と向き合う時間を与えてくれます。流れ星に願いをかけたり、天の川の雄大さに心を震わせたり、大切な人と静かに星を見上げたり。星空が教えてくれるのは、日常の喧騒から離れ、自分自身と宇宙のつながりを感じることのできる、豊かな時間です。
今年の夏は、石垣島で、一生忘れられない星空体験をしてみませんか?皆様のお越しを心よりお待ちしております。