石垣島の星空保護区が、星空が綺麗に見える場所とは言い切れない理由

川平 2023.6.22 23:39

星空保護区=満天の星空!と勘違いしている人が多いので、地元石垣島北部で8年、星空ツアーを運営している天体観測のプロが、島人目線でその理由を解説したいと思います。

石垣島の星空保護区って具体的に何処?

石垣島は星空保護区に認定された!という言葉だけが独り歩きして、石垣島全体が星空保護区に認定されたと勘違いしている人が多いですが、実際は、石垣島にある国立公園の事を指しています。石垣島にある国立公園は竹富町と違い、石垣島北部とその一部しかなく、国立公園の種類も第一種が主になっており、そのほとんどの場所が人間の立ち入りもさえも厳しい場所となっています。ジャングルの中で木々に天頂の視界を遮られ満天の星空が見えるでしょうか?

石垣島にある国立公園の正式な名称は、「西表石垣国立公園」といいます。環境省のHPで検索すればすぐに出てきます。

もう少し詳しく星空保護区について

星空保護区は2018年に国際ダークスカイ協会(IDA)が西表石垣国立公園の陸域(約4万ヘクタール)を、当時は国内で初めて認定しました。だた、この認定はランクがあり、そのランクは上から二つ目のシルバーになります。因みに竹富町は全域が規制が緩い第3種の国立公園に指定されていますので、石垣島を除く八重山諸島は全てが星空保護区という事になります。

当然、竹富町にあるリゾートホテル周辺や西表島の大原や上原など比較的、民家や街灯が多くある集落も星空保護区ですので、星空保護区=どこでも星空が綺麗に見える場所は間違っています。

星空保護区の目的とは

星空保護区は、光害(人工的な光による明るさ)を人間が生活するうえで不便のない範囲でコントロールする事で、美しい星空環境を維持していくことを目的としている。と、星空保護区になる前の久宇良公民館で行われた住民説明会で説明がありました。また、街灯などの照明器具を暗くしたり、光を上方向に発しないようにするなどの対策が竹富町で進められましたが、住民から暗すぎると苦情が相次ぎ、せっかく設置した街灯が一部元に戻ってしまったそうです。

石垣島にある国立公園は規制が厳しい第一種がほとんどなので光害の原因となる街灯はそもそもありませんが、当然、人が気軽に入れる場所でもありません。

 

石垣島の星空保護区は、そのほとんどが人が立ち入りできないエリア

石垣島にある国立公園(星空保護区)の大部分は、石垣島北部にある山の上や開発が規制されているジャングルなど、とうて人が立ち入りできないエリアです。そのため、実際に星空観察する為に適した開けた場所はほとんどありません。また、石垣島の国立公園は規制が厳しい場所も多いので簡単に立ち入りできる場所でも無いので注意が必要です。中には、久宇良放牧場などで、無理矢理入れる場所を探しているのを見かけますが、夜行性のハブや野生の琉球猪も多く生息している場所だったり、舗装されていない悪路が多かったり、半野生の雄牛に車を壊された地元の人の話もあるくらい大きな危険があります。

玉取崎展望台は星空保護区内だけど、圧倒的に平久保半島のほうが星空が綺麗

石垣島の星空保護区内で唯一安全に星空を観測できる場所は玉取崎展望台です。玉取崎展望台は国立公園内になっています。駐車場も広くトイレも自動販売機もあります。展望台は駐車場から少し離れているので駐車場にある街灯や自動販売機の光も遮る事が出来ます。ただ、すぐ下にある伊野田集落の光や、その奥の石垣島市内の光が結構影響しています。展望台も立派で大きな赤瓦の屋根があるので、当然天頂は屋根です。玉取崎展望台は昼に平久保半島の景色を見る為に設計されたものなので、天体観測がしやすい開けた場所とは言えません。

また、玉取崎展望台は平久保半島と石垣島市内の間にあるので、当然石垣島市内の大きな光害から離れている平久保半島のほうが星空が綺麗に見えます。玉取崎展望台も石垣島市内周辺に比べるととても暗い環境ですが、夜見える雲は白く見えるので、光害の影響を受けていると言えます。

平久保半島はその大部分が国立公園に指定されていますが、平久保半島の国立公園は玉取崎展望台と違い基本的に立ち入り困難な場所です。一部立ち入りできる場所も確かに存在しますが、その場所はジャングルの中なので天体観測が出来る場所とは程遠い場所になります。

平久保半島の中で星空が最も綺麗に見える場所(天体観測に最適な360度見渡せる場所)は久宇良地区です。平久保半島は小高い山が連なっている為、星空観測に適した安全で開けた場所は久宇良地区しかありません。夏の天の川を正面に見ることの出来る平久保半島で唯一の場所です。

だだ、久宇良地区は国立公園の隣にあるので、厳密にいうと星空保護区とは言えない事になります。

しかし、見上げる星空は同じなのです。むしろ、星空保護区内の玉取崎展望台より星空保護区外の久宇良地区で見上げる星空のほうが誰が見ても綺麗だと言うでしょう。

まとめ

星空保護区は星空が綺麗に見える場所を評価する指標ではありますが、星空保護区内のすべての場所で星空が綺麗に見えるとは言えません

石垣島の星空保護区はイコール西表石垣国立公園となっているのがその理由です。

その為、星空保護区内とは言えないけど、星空保護区内の場所より何倍も綺麗な星空が見える場所があるという、おかしな事実が存在しています。

ただ、私は、久宇良地区で見上げる星空が、道を挟んでたった6メートルしか離れていない星空保護区(平久保半島の国立公園)の外だから、星空保護区とは言えないとは思えないので久宇良地区も星空保護区と宣伝していこうと思っています。

そんな平久保半島の中でも特別な場所にある流れ星の丘の星空ツアーを是非チェックしてみてください。

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ここは、石垣島の市街地から遠く離れた星の楽園!国内初の星空保護区エリアでもある「流れ星の丘くうら」。ハンモックやリクライニングチェアで星空に抱かれてみたり、ガイドが八重山の星文化を案内してくれたり、唄三線が響いていたり、双眼鏡で宇宙を覗いてみたり、星空フォトで星空をお土産にしたり、そんなプレミアムな場所です。